目標は達成できないもの、プロジェクトは遅れるもの。ならどうする?
そういうものだ、という話の続き。
前回(目標は達成できないもの、プロジェクトは遅れるもの。なんでだろう?)の続きです。いろいろと理由をつけて、そもそも目標は達成できないものだということについて書きました。
頑張って何とかするという考え方は、何とかなっているうちは問題ありません・・・少なくとも、その時点では。しかし前回説明したとおり、その状態はまだ失敗していないだけであり、そのままではいつか限界が来ます。
今回はその続きで、じゃあ、どうするか? ということを書きます・・・鏡を見ながら。
結論から言えば簡単なことなのですが、前提を変えるというのが、その方法です。
以下、どういうことかを順を追って説明します。
大きな夢を見よう。
まず、前回紹介した本(など)をもう一度引っ張り出します。前回は、目標は達成できないということを共通項として挙げました。
実は共通項はもう一つあります。それが、だから大きな目標を立てようということです。
読んだ・見たのは以下のもの。
書籍
クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方
書籍以外
ニコニコ動画のゆっくりFランシリーズ
何が起きる?
大きな目標を立てると一口に言っても、それぞれの媒体ごとに事例も違います。当然、取られる方法や期待される効果も違ってくるので、ここではそれぞれの事例について、変えた前提や、その前提を変えたことでどのような変化が起きるのかを見てみます。
クリティカルチェーン
IT業界の話です。競争が激しくなっているので、株主はより早いサイクルで新製品を出すことを期待している。
しかし、現実には期間を早めるなんて夢のまた夢の話で、むしろ、今にもプロジェクトは遅れそうな状態である・・・。
ここで変えたのは、『プロジェクトを構成する個々の作業は、予定通りに終わる』という前提です。前回説明したとおり、人間の仕事は、遅れやすくて進みにくいという性質を持っています。ならば、前提は『作業は予定通りに終わらないことが多い』というものに変える必要があるわけです。
前提が変わったら、それに伴って計画も変える必要があります。彼らが変えたのは、仕事の予定工数でした。すべての工数を半分にして、浮いた時間をすべてバッファとしたのです。
これにより、早く終わればもうけものだし、遅く終わってももともとそういうものだから仕方ないという、新たな方針が生まれます。
また、すべてのタスクにぎりぎりの期限が設定されるので、『まだ本気出してないだけ』なんて言ってられません。常に本気を出しても終わるかどうか怪しいんですから。
自分の時間を取り戻そう
生産性を上げるというのがメインテーマですが、細かく見ていくと『時間を増やして何とかできる範囲には限界がある』という、今回紹介したいのと共通した話が見えてきます。
変えた前提は、『時間を増やせば(がむしゃらに頑張れば)幸せになれる』という感じでしょうか。これを、『生産性を増やせば幸せになれる』に変えています。本としては、その先の生産性の上げ方のほうがテーマですね。
そして、この本で紹介されている生産性の上げ方は、投入する資源(時間)を減らすことでした。
クリティカルチェーンでは『常に本気を出さざるを得ない』環境に置くのが目的ですがこちらは『本気出してなんとかなるレベルじゃない』程度まで減らしています。そうすることで、『根本的にやり方をあれこれ改善しようとする』という効果が得られる、というわけです。
ゆっくりFラン
これはニコニコ動画に存在する、底辺大学の就職活動事情を描いた動画です。その内容は単に面白い(悪い意味で)学生を紹介するものから就職活動に役立つ心構えなど、実に多岐に渡ります。そして、そのなかで何度か出てくるテーマに『そこそこを目指してそこそこの結果を得られることは少ない』というものがあります。
前提は単純ですね。『目標は達成できる』という前提を『目標は達成できない』という前提に変えています。
これは、計画を計画通りにできる人はそもそもこんな大学に来てないという考えに基づいたものです。ただ、それ以外の人でも、そもそも目標は達成しにくいものである、というのは前回説明したとおりです。
目標が達成できないならどうするか。簡単なことですね。そこそこなんて考えないで、就職活動に全力で取り組む。これに尽きます。
むすび:達成できたらもうけもの。
前提を変えるという考え方について共通してるなと思ったものを紹介しました。ただ、このような考えは上記に限ったものではなく、いろいろなところで見ることができますよね。
少しだけ身の丈に合わないものを手に入れる。それに合わせようと頑張る。すると、いつの間にかそれが身についている。みたいなやつとか。
この手の考えは、いかに自分で自分を騙せるか? というところがとても重要です。特に、前提や考え方を変えるというのは、なかなか難しいものがあります。
例えば投入時間を減らすと決めても、とはいえ残業しようと思えばできるしな・・・なんて考えは、それまで残業が当然だった人にはなかなか消せないものです。
ただし、考え方を変えようと思うのはいつでも、いますぐにでもできます。その日のうちに撤廃してしまうかもしれません。でも、翌日にまた考え方を変えることだってできるわけです。
どうせ、目標や計画は予定通りには達成できません。人間というのはそういう風にできています。
ならいっそ、達成できたらもうけものくらいの軽い気持ちで、三日坊主の屍の山を築くことで、高い目標に到達することを目指してみるのがいいんじゃないかなと思います。
ちなみに僕は、内浦でゲストハウス経営という夢を掲げつつ、内浦に住んで適当に雇われて働くという地点への着陸を目指しています。