国木田花丸考。花丸さんと星の王子さま? あのときの王子くん? 惑星の王さま?

花丸さんが借りていたと思われる、惑星の王さまに関して考えてみる話。

読んだことなかったので読んでみた

あのときの王子くん

星の王子さま、の青空文庫版。
内容は普通に星の王子さまらしい。
らしいというのは星の王子さまという作品を他に知らないからだ。多分同じだ。

タイトルが違うのはいったいどういうわけなのか、という話は、訳者あとがきにて触れられているので気になる方はご覧いただきたい。

ひとまず一般的なタイトルで通すことにする。
星の王子さま。

読んだことなかったので読んだ。
泣いた。

本の内容についてはいまさら僕が語ることもないと思うので、ごくごく簡単にするけど・・・。
わかりやすいものを信じてちゃんとするためにちゃんとする、そんな思考停止と同じ意味で使われる種類の正しさを振りかざす大人に反旗をひるがえす王子くん。
この清々しさは、ラブライブ!の思想に通じるものがあるように感じた。
なんでもラブライブ!に結びつけちゃうんだ。
こじらせてるからね。

惑星の王さま?

惑星の王さまは、花丸さんが図書室で本を探している場面で、花丸さんが手を伸ばしていた本のタイトルである。
問題の画像はこれ。
載せといてあれだけど値段つりあがってるし買うのは馬鹿らしいですよ。

王さまというと、星の王子さまの方にも王さまという名前は出てきていた。
一人きりで、小さな星を治めていて、王さまとは・・・みたいな感じで、王子くんに思われていた。

あれは惑星だったのだろうか。

なんて思いつつ、王さまの星のシーンを読んだ。
多数決の国とか思い出しながら。

さて、花丸さんが本を借りている。
それだけ見れば特に疑問を抱く余地はないシーンだ。
だが、ここであえて以下の疑問を挙げてみる。

  • なぜ花丸さんはその本を借りているのか?
  • 花丸さんはその本を読んだことがあるか?
  • そもそもこれは借りようとしているところなのか?

なお、惑星の王さまというタイトル自体は、星の王子さまのパロディであり、名前が入ることを避けた結果であり、本の内容は星の王子さまである、という前提で書いている。
あれ、そうなるとそもそも借りたという状況自体がフィクションか?

借りた理由

読みたかったから、と答えるのは簡単だが、いかにも芸がない。
大人が読んでも楽しめると評される一方で、児童向けの本であるのは間違いないわけで、それならば花丸さんはすでに読んだことがあったとしてもなんら不思議はなさそうだ。

ここで理由を考えるのに、別の号でリコ・サクラウチのQ&Aで好きな言葉だか本だかに『大切なものはいつだって目に見えない』的な言葉をあげていたことを思い出すのは、想像の飛躍とまでは呼べないだろう。
やはり両者にはなんらかのつながりがあると想像をたくましくさせ、すなわち梨子が話題に挙げて、昔読んだけどそういえばどんな話かよく覚えてないな、ちょっと読み返してみようかな。
そんなことを思って、借りてみようと思った。
というところか。

読んだことがあるか

先の説を採用すると、昔一回読んだきり、ということになる。

採用しない場合はどうだろう?
花丸さんの現在の好みは日本文学の教養小説に傾いている。
だが、それ以外にもハリー・ポッターを幼少時に好きだった本として挙げたことがあった。

ここから考えると、有名どころは押さえているのではないか、と推測できる。
星の王子さまが有名どころに含まれるのは疑いようがない。
よって、『昔一回だけ読んだ』の線がやはり有力であるといえる。

借りるところなのか?

図書委員の主な仕事は、本を借りる手続きをすることと、本を整理することである。
本を整理するというのは、読まれた本が間違った場所に戻されていたりするのを戻したり、返ってきた本を元の場所に戻したりすることだ。

つまり、さんざん話をしてきたことを混ぜ返すようでアレなのだが、あれは本を戻している場面という可能性があるということだ。
というわけで、どちらなのかを考えてみる。

一応、姿勢的には、本を戻す体勢には見えない。
本を戻すのは多くの場合、両隣の本をどかしながら押し入れることになるから、案外に力が要る。
体の小さい花丸さんならなおのこと力が必要で、その作業中ならば体が前に乗り出すはず。
本を元あった場所に戻すという作業中ならば、あのように体重をかけづらい座り方をするとは到底考えにくい。

ところで、一緒に持っている本が植物図鑑というのは何らかの根拠にならないだろうか?
思いつくままに書いてみると、これは本を借りているところという根拠になりうるように感じた。
なぜなら小説と植物図鑑を同時に返そうとする場合、植物図鑑から返すはずだからだ。
本自体が大きいということもあるし、図鑑の場所は通常、図書室の一角に隔離するように固めて置いてあるので、非常に目立つ。
つまり、本をもとあった場所に戻すならば、図鑑から戻そうとするのが手っ取り早いのである。

ただ、もう少し考えれば、このことは借りる場合にも同じことがいえることに気付く。
借りようとしていると見た場合についても、なぜ花丸さんは植物図鑑を先に借りようとしたのか? について疑問が残ってしまう。
もちろん、この疑問に対して『性格がのんびりしているのであまり効率を気にしないのだ』などと理由を付けるのは簡単だが、その理由付けはそのまま本を返す順番についての理由にもなってしまう。
これでは話が振出しに戻ってしまうので都合がよろしくないのだが、残念なことに他にちょうどよい理由は思い浮かばない。
この方面での理由付けは難しいかもしれない。

ひとまず、持っている本を見る限りではどちらか判断できないが、体勢的には少なくとも本を返す作業中には見えないという根拠をもって、本を借りている最中であるという結論とする。

参考文献


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電撃G’s magazine 2015年9月号<電撃G’s magazine> [雑誌]

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