好きなWEBコミックのお話。裏サンデーの堕天作戦。

堕天作戦/山本章一

堕天作戦
裏サンデーで連載しているWEBコミックです。最新話と初期だけ無料で公開されています。現在は月一ペースで更新されているので、うっかり忘れないように注意が必要です。

過去分は、紙の本や電子書籍として販売されています。現在は2巻まで発売中。

わかりづらいんですけど、実際の表紙は黒地に金加工がされてて、なんというか雰囲気があります。もちろん中身は変わりませんけど。

どんな話?

不死者であるアンダーが、風変わりなファンタジー世界で生きていく。一言で表すとそんな感じになりましょうか。
ただ、これだけだと魅力も何も伝わらないですよね。この作品の魅力は、いろいろな要素が絡み合ってます。

直接は語られないけれど、さまざまな描写で語られる奇妙な世界観。
濃いめの作画なのにどこかとぼけたやり取りをするキャラクター。
『死なない』ために弄ばれ、心を失った主人公が、心を取り戻す成長物語。

大雑把に、世界観、キャラクター、主人公、という感じですね。いろいろな要素といいつつ3つしか出てこなかったんで、これらについてひとつずつ触れていくことにします。

世界観について。

一応、剣と魔法のファンタジー的な世界です。一応

一応と言いまくっている理由は、いろいろとあるんですが・・・竜とか出てくるんですけど、竜という言葉から一般的に想像できるものとはだいぶ形が違います。他にも豚とか馬が出てくるんですが、全体的に『どこが?』って感じの異質な造形です。少なくともGoogle先生には理解はしてもらえなさそうです。

ついでに、登場している人たちは耳が尖っていたり魔法を使えたりします。そう、魔人です・・・が、たぶん妙な印象を受けると思います。黒目が円でなくて、細長いんですよね。草食動物とかの虹彩が、横長の視界を確保するためにこうなってるらしいです。

とにかく『こいつら人間じゃねえ』うえに『よくあるファンタジー世界でもなさそうだ』っていうのが全力で伝わってくるわけです。

ただ、それでもこいつらは人間とそんなに変わらないんだな、と思わせる場面もあります。

1巻の別のシーンでは、魔人たちが竜に襲われています。大混乱の中、特に混乱した指揮系統から、でたらめな指示が飛んでいきます。それに対して、誰かが、指揮への不満を叫ぶわけです。

「撤退か継続かハッキリしろおおおおお!!」

全体的に文化や姿かたちが異なる魔人ですが、なんというか、縦社会の『あるある』を感じるのです。
このように、違和感を抱かせつつも共感できる世界観が描かれています。

ちなみに、なんでそんなへんてこな世界なのか? というのは、詳しくは2巻で語られますので、ここでは触れないでおきます。

キャラクターについて。

キャラクターは、全体的に濃いです。顔立ちも性格も。そして、これが一番重要ですが、どこかとぼけています。
といっても想像しにくいですよね。というわけで、好きなシーンを挙げてみます。

例えば食事のシーン。
将軍を殺そうとした兵士が突入してくるが、将軍はこともなげにその兵士を返り討ちにする。さらに警備していた兵士の責任を追及し、厳罰を命じる。

・・・本来は、緊迫したシーンのはずです。でも、その裏で、将軍以外がメインディッシュのエビを食い尽くしています。

なんでそこでギャグを入れた!? と言いたくなるシーンです。

この他にも、パッと見まじめなシーンにちょっとしたネタが仕込まれていたりすることが多いです。わかる人だけわかればいい、とばかりに仕込まれているので、パッと見では流しちゃうけど、よくよく見るとこれって笑うところか・・・?

なんて深読みするのも楽しい作品といえます。

主人公について。

先に書いたものと共通する部分もありますが、主人公の魅力も欠かせません。

不死者と呼ばれる能力を持つ、アンダー。

なぜそんな能力を持ったのかもわからぬまま、しかしその能力に目を付けた人間や魔人に利用されます。自爆要員として使われたり、ありとあらゆる殺し方で生き返るかどうかを実験されたり。

そのうちに心も壊れてしまったけれど、ある魔人の少女との交流から、壊れたと思っていた心を取り戻していきます。この話は裏サンデーで今も公開されている、『虚空処刑』のPart1~Part3で語られています。あのシーンの熱さは、ぜひとも読んで味わってほしいところ。

マンガワンでも読めるっぽい?

今見てみたら、裏サンデーのページから『過去話を見る』的なリンクでマンガワンのサイトに飛ばされるので・・・もしかするとここで全話見られるのかもしれません。

マンガワンについてはよく知らないのですが、金を払うのは嫌だ! という方は見てみるといいかもしれませんね。

むすび:言うなればストレンジファンタジー。おすすめです。

そんな感じで、『堕天作戦』について紹介してみました。ダークファンタジーと言い切るにはいびつすぎて、ストレンジファンタジーとでも形容したくなるこの作品。でもそこらへんが癖になってしまったようで、ずっと貼りついています。

これからの展開についても、2017年1月時点での最新話で『生きとったんかワレェ!』な展開でかなり衝撃を受けましたので、ひたすらに楽しみにしています。

たぶん万人受けはしないんですけど、刺さる人には刺さる・・・そんなタイプの作品なので、気が向いたらぜひ一度、虚空処刑だけでも読んでみていただければ幸いです。こちらからどうぞ。

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