もう誰も横浜の果てで涙という名の同窓会だけ見えない、通称もう見えないRPGを知っていますか?

23年前のバカゲー。その名は『もう誰も横浜の果てで涙という名の同窓会だけ見えない』
TRPGの話。TRPGをまったく知らないという人は意味わかんないかも。

ジェットコースタードラマ。

この言葉に、耳馴染みはあるでしょうか? 僕はありませんでした。要するにジェットコースターのように縦横無尽、息つく暇もなく展開が変わるドラマということでしょうか。

サスペンスのジャンルに入るドラマだが、1週でも見過ごしたらついて行けなくなるほどストーリー進行が早く、クライムサスペンスらしく先が読めないスリル満点の展開からホームドラマとの対比で「ジェットコースタードラマ」と命名された。
もう誰も愛さない - Wikipedia

だいたいあってました。ちゃんと言葉として存在するみたいです。

どんなゲーム?

ジェットコースタードラマのようなゲーム・・・というのは、説明にはなりませんね。そもそもジェットコースタードラマを僕はよく知らないですし。

というわけで、実際に遊んだ経験をもとに、最大公約数的にこのゲームを説明してみます。

  • 様々な問題を抱えるキャラクターが
  • 理不尽な目に遭いながらも
  • なにかに一区切りをつける

・・・どうでしょうか? ざっくりですが、一回のゲームの流れを説明しています。最後の『なにかに一区切り』ってなんだよと思うかもしれません。要するに全部アドリブで進めるということです。『難易度たけーなオイ』と思うかもしれませんが、意外と何とかなります。

その理由についてはのちほど説明するとして、ひとまずはゲームの流れについて、順に説明していきます。

1.問題を抱えるキャラクター

キャラクターはいろいろな設定を背負わされ、それに応じたゲーム内パラメータが設定されます。これがキャラクター作成になります。どんな設定になるかはランダムです。

場合によっては、世間的には学生だけど実は闇医者とか、飼っている金魚を偏愛しているみたいな、変なキャラクターができたりします。ちなみに、前者の『実は〇〇』というのはキャラクターの『表の顔、裏の顔』によって表現されます。これも前述の、設定の中に含まれており、そこで決定されます。

普通のゲームだと、この設定部分だけでおなかいっぱいになるのですが、このゲームではそんな程度では満足しません。それが次の項目です。

2.理不尽な目に遭う

キャラクターを作成したら、自己紹介もそこそこに、第一話(予告編)が始まります。この中で、キャラクターたちは理不尽な目に遭います。慈悲はありません。

例を挙げるとこんな感じ。

  • 道を歩いていたら違法ヤクザに因縁をつけられる。
  • 車で走っていたら人をはねてしまった。
  • 会社に行ったら突然クビにされた。
  • そもそも会社がなかった。
  • 家が爆発した。
    • 確率は1/6。
  • 家にいたら家族にトラブルが舞い込んできた。
  • 恋人の家にいたら浮気相手が飛び込んできた。

この予告編が終わると、いよいよ本編が始まります・・・が、その前に、各自が設定を練り込む時間が与えられます。感覚的にはタイミングおかしいと思われるでしょうが、1の後にやっても直後に崩壊するので意味がないんですよね・・・。

ちなみに、ディレクター(GM)も、このタイミングで事件の全貌を考えたりします。だいたい考え付かないので、みんなで話しながら考えます。

3.なにかに一区切りをつける

2の終わりで考えた事件の全貌と、各自が考えた設定を元に、物語的な落としどころを探しながら話を進めていきます。

ゲームの進め方としては、キャラクターごとに視点を切り替えて、少し進んだら次の人、というように進めていくとよいでしょう。サイクルとかシーンとかいう言葉がわかるなら、そういう感じです。

またその中で、キャラクターは『良心』『邪心』『社会信用度』という各種パラメータを利用して、物語を都合のいいように書き換えることができます。良心なら泣きの演技で情に訴えたり、邪心なら弱みを握って脅したり、社会信用度なら単純に金を握らせたりするわけですね。

アドリブについて。

ここまでの説明を聞いて、『正気かよ』とか『狂ってる』とか『よっぽど暇なんですね』とか、様々な反応があると思います。そんななかでも、比較的好意的な反応で、かつ多いのは『シナリオがアドリブだと大変そう』なのではないでしょうか。

そこで、最初に記載したとおり、このゲームにおけるアドリブのハードルの低さを説明していきます。

最初から期待値が低い

そもそも分類としてはバカゲーなので、参加者の期待値はかなり低くなります。この期待値の低さのために、普段なら何でもないようなことが面白いという状態が作り出しやすくなります。なんでもいいから、とりあえずなんか言っておけば大丈夫というのは、アドリブをしやすい状況と言えます。

逆に、『これすごい面白いんだよ!』とか期待させてからプレイすると、『なにこのクソゲー』という評価になると思います。第一印象というのは重要です。

材料が余るほどある

とっかかりとなるネタが掃いて捨てるほど出てきます。キャラクターの設定や、理不尽な出来事ですね。回収できない伏線も出てくるはずです。そのような状況なので、どこかしらには、何らかの関連性を見出せるでしょう。

相談しちゃって大丈夫

もしどうしても思いつかなくても、大丈夫です。そのときはもう、『ごめん、なんも思いつかないんだけど誰が悪い奴だと思う?』と相談しちゃいましょう。

もともとわかりやすいシステムではありません。勝ちパターンなんて無数に存在するでしょうし、そもそも勝つのが目的ではないことだってあるかもしれません。『こういう状況になったらこの話は終わる』という合意をふんわりとでも作っておけば、プレイヤーも動きやすくなります。

視聴率を上げるために

最後に、もう見えないRPGを楽しむためのコツをいくつかご紹介します。

材料を増やせ!

話を膨らませるためのネタは、どんどん見えるようにしていきましょう。僕の場合は、予告編でどどんとふで次々とキャラ駒を作っていきます。『ひかれた人』とか『恋人』とか『恋人の親』とかですね。で、それを関連するキャラクターの周りに置いていきます。人物相関図のようなイメージです。

イメージとしては、予告編で風呂敷を限界まで広げて、その後みんなで頑張って畳む、という感じですね。

ゲーム外の材料を活かせ!

上記に関連するのですが、どどんとふを利用していると、キャラ画像が設定できます。なんでもいいので、以前にセッションで利用したであろう画像を適当に設定しておくと、新たな発想を得られたりします。

『恋人』に設定した画像に子供が描かれていたために子持ちになるとか、似ているから兄弟にしちゃおうとか、同じ顔だからクローンだったんだよ!とか・・・。もちろん、話が面倒になりそうなら他人の空似にしてしまってもなんら問題はありません。

ネタになりそうな要素は、積極的に取り入れましょう。

常識にとらわれるな!

一回、なぜかSFっぽくなったことがありました。

黒幕が、未来から来た人物だったということになったのです。酷いことに、今の時代なら赤ん坊だから、今のうちに・・・ということになり。
黒幕が未来から来たという事実がなくなって、めでたしめでたし。

ありがちといえばありがちなので、常識にとらわれるなと偉そうに言えるほどではないですね。ただ、一か所だけこじつけると、すべてのつじつまがあうということは往々にしてあるものです。『ねーよwwww』なんて笑いながら、トンデモな展開を楽しむのもアリだと思います。

材料を減らせ!

始めの項目の逆ですが、あちらは序盤の話で、こちらは終盤の話です。終盤にかけて、話の落としどころが決まり切っていない状態では、材料を減らしていくことが重要になります。

容疑者が真犯人に殺されるというのも一つの方法ですし、『実は同一人物だった』でも人が減ります。『誰かの指示で動いていた』というのも、事件の複雑さを減らせます。

最終的には、すべての事件が一人の人物に収束する・・・というのがもちろん理想ではありますが、そんなに上手くいくことは稀です。そんなときは、『なかったことにする』というのも一つの手です。『で、こいつなんだったの?』なんて聞かれても、軽く流しましょう。もちろん、聞いてきた人にいいアイデアがあるなら、採用するのもいいでしょう。

むすび:遊びたくなったら教えてください。

というわけで、23年前のバカゲー、もう誰も横浜の果てで涙という名の同窓会だけ見えないRPGの紹介をしました。収録はRPG福袋の94年版。amazonだと4000円くらいだったかな。

僕はこのゲームに関しては一時期熱心に環境を整えてまして、ダイスボットも作成して、オンラインセッションを募集してたりしました。いまもその環境はありますので、もし遊んでみたいという方がおられましたら体験卓を用意します。ルールブックは不要です。

気が向いたら何らかの手段で教えてください。他のメンバーが都合できればということにはなってしまいますが・・・。

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