国木田花丸考。僕の知ってる人間の運命と違う。
わざわざこんな辺境のサンドバッグまで足をお運びいただきありがとうございます。
さて、読者諸兄におかれましては、G’sマガジンの2017年4月号にはもう目を通されましたでしょうか。
流石にもう一週間以上経ちましたし、読まれてることかと思います。
自分はライブなどのインプットを吐き出してから!という質の悪い建前を盾にしてまして、一週間遅れでようやっと目を通すに至りました。
今回は、花丸さんが久しぶりに人間の運命に触れていたので、そこについて書いていこうと思います。
おねむな花丸さん。
人間の運命についてと言いつつも、まずはイラスト自体についても触れておきたいと思います。
触れざるを得ません。
図書室で掃除当番のルビィを待つ間にうたた寝・・・というかがっつり眠ってしまう花丸さん。壮絶なまでの可愛らしさです。
時間が許してくれるなら眺めながら一生を終えたい。
いや終えたくない。(混乱しています)
こう・・・なんていうか、毛布とかかけてあげたくなりますよね。
そして対面に静かに座って本を読んでいたい。
という願望は『自分なら』という仮定ですけれども、ヨハネはなんか似たことしそうな気がします。
ルビィは普通に起こしちゃいそう。それはそれでありだと思います。
人間の運命についての言及
さて、本題の人間の運命について。
ポイントは2つですね。
- 冊数についての言及。
- 過去の発言への補足。
以下で、それぞれについて見ていきます。
冊数についての言及
花丸さんの発言によると、人間の運命は6冊ということでした。
人間の運命は、現在は大きく分けて2つの形態で出版されていますが、方や7冊、方や18冊と、そのどちらも6冊ではありません。
おそらく、『巻』ではなく『冊』という表現をしていることから、花丸さんの言及しているのはどちらかといえば7冊構成のものが近そうですね。
ちょっと脱線。
どうしてこんなことになっているかというと、芹沢光治良先生が晩年に書き綴った作品だからなんですね。
ほとんど自分の伝記みたいな、戦前から戦後を生き抜いた自身の集大成とも言える作品にすべく、考証のための資料集めにも年単位で時間をかけていたようで。
ただ、その時点でかなり高齢だったため、『書き上げるのが先か、寿命が尽きるのが先か』みたいなノリだったみたいです。で、そんな感じで急いで書き上げる必要があったため、当初の結末はかなり急ぎ足になっていました。
読むと分かりますが、『打ち切りかな?』という終わり方をしてます。
発売当時も、似たような声は上がっていたらしいですね。
とはいえ完成は完成なので、その時点で発売されたのが7冊構成の人間の運命というわけです。まあ現実には『最後の一文字を書くと同時に死ぬ』みたいな感じできれいに終わることはなくて、当初に思っていたよりは長生きしてしまったんですね。
なので、打ち切りみたいな終わりになってしまった自覚は本人にもあったと見えて、前後に1巻ずつと、作品全体の補足に2巻との合計4巻を足し、その上で既刊14巻全体に再度校正をかけるという大仕事をやってのけました。
それが、完全版の全18巻、全巻合わせて36000円也というわけです。
こんな感じで、少々流動的な作品ではあるのですが。
僕の知る限り、人間の運命が6冊になった時点で一旦完成したなんていう話はないはずです。
そこは軽いフェイクということでしょうか?
いずれにしても、僕が花丸グッズと思って読んでいた7冊あるいは18冊の人間の運命は実は異なるものであり、6冊の人間の運命が正式なグッズということのようですね。
過去の発言への補足
過去の発言というのは、2015年9月号の花丸さんの記事によるものです。
花丸さんはこの本を読んで『ドキドキして眠れなくなった』という発言をしていました。
一年半ほど前、人間の運命をどんなもんかと読んでみたらあまりの壮絶な展開に圧倒され、『花丸さんどんだけメンタル太いんだよ』と思った記事を書いています。(『国木田花丸さんがわからん。』)
今回はまさにその疑問の部分が語られており、私信めいたものを感じてしまいます。(ヲタク特有の気持ち悪さ)
発言の趣旨としてはこんな感じですね。
- 当時の生活が大変だということ
- そのなかで成長していく主人公と話に引き込まれる
- 続きが気になって眠れない
『読んだ夜は眠れなくなる』という発言について、その理由が読後感的なものだとばかり思っていたのですが、そこが勘違いだったようです。
単純に、続きが気になって眠れない・・・ある意味、寝食を忘れてゲームにハマる子供と同じですね。
少し安心しました。
ただやはり自分の場合はその壮絶な世界観に圧倒されてしまって、最初の一冊を読むのに2ヶ月くらいかかってしまったというのが強く記憶に残っているんですよね。
それでもなお黙々と本の世界に没頭し続けられる花丸さんは、やはり心の強い娘さんであるな、という印象は変わりませんでした。
あるいは花丸さんにとっては、現実のほうがよほど恐ろしく、それが本である以上はどんな世界であれ安心できる場所なのかもしれません。
それはそれで少し心配にはなりますが、本の世界に打ちのめされるのもそれはそれでメンタルどうなのって話なので言えた義理ではありませんね。
まあ僕自身の感想はどうあれ、本人が語っていた『ビルドゥングスロマンが好き』というのが具体的なエピソードとして掘り下げられた今回の記事。
花丸さんの、そのジャンルに対する愛情や、読書そのものに対する姿勢が見て取れる、素晴らしい内容であったと言えますね。
むすび:花丸さんへの『わからん』は幾分減った。
というわけで、なんか過去に僕が抱いていた疑問への回答が一年半越しに明かされたよ、という話でした。
もとい、花丸さんの本好きな一面がより具体的に描かれている素晴らしい記事であるという話でした。
人間の運命の冊数の問題はちょっとよくわからないのですが、そこは些細な問題でしょうか。
僕には、特に意味を見出せませんでした。
有識者の方の意見が知りたいところです。
ともあれ、好きな人が好きなことの話をしているというのはやはり素晴らしいことですね。
ちなみにすっかり忘れていたのですが、完全版の人間の運命1巻『次郎の生いたち』をまだ半分までしか読み終わってないことを思い出しました。
サピエンス全史とか読んでる場合じゃなかった。
続きがありますのでよろしければあわせてどうぞ。