断る力を読んで、ようやっと、動けるようになってきた気がする。

断る力を読んだ。例によってオーディブル。
自分の生産性を高めるために断る。
自分の時間を取り戻そう、とも共通するメッセージを感じた。

気になるところをメモしつつ聴いたので、少しいじりつつ公開する。

仕事を断れるようになるためには、仕事を断らなければならない。

仕事を断っても継続するような関係を築くためには、相手に『それでも頼みたい』と思われるような価値が自分自身になければならない。
だが、そんな価値を身につけるためには、断ることによって自分の価値を高めるための時間を作らなければならない。
矛盾している・・・というか、お互いがお互いの前提になっているので実現が非常に難しい。

ただ、残念ながらこの理屈は間違ってはおらず、真理を表している。
ということは、今頃になってこの理屈に気付くような間抜けは、どこかで無理をして、この循環に飛び移らないといけない。

自分がコモディティかスペシャリティかは市場によって変わる。

筆者のTV出演の場合が例に挙げられていた。
自分の専門の分野ではスペシャリティだが、バラエティ番組ではその他大勢の『法律おばさん』にすぎない。

スペシャリティは付加価値を与える存在。投資。コストが高くても、それでさらなるリターンが見込めるなら喜んで払う。
コモディティは損失を抑える存在。消費。競合が多いため能力での差別化が難しく、価格でしか競争できない。どんなに安くても、嫌々支払われる。

リターンマキシマム、リスクミニマム

ファンを増やすのはリターンマキシマム、敵を作らないのはリスクミニマム。
むやみに敵を作るのは論外だが、それを怖がってなにもしないのでは何も得られない。

首相の2つのタイプ。
敵を作って新聞や国民にさんざん叩かれつつもやることをやっている→リターンマキシマム。
国民のご機嫌取りに熱心だが、実際にはなにもしていない→リスクミニマム

お笑いの変遷。
優等生的、牧歌的なお笑いが主流だったなかに、ビートたけしが毒のある笑いを持ち込んだ。
敵を作りつつも熱狂的な指示者を獲得している。
お笑いの世界は典型的な実力主義のため、時代の変遷の影響が早い段階で現れる。

相手に誠実であるからこそ断る

他人に依存しがちな僕だけど、この部分はほんとにそうだよなあ、と感じた。
誠実でありたいから自分を曲げない、相手が今のままでは危ないと思っているのにそれを表現せずに適当に話を合わせているのを誠実と言えるのか? というのはイケダハヤトさんの『武器としての書く技術』にも載っていて、それを思い出した。

他人は自分のことを的確に判断できない

他人が自分に割けるリソースは自分のそれよりも絶対的に少ないから。
確かにその通りだ・・・が、少ないからこそ惑わされることなく判断できるときもある。

新しいことを始めるために仕事をやめようとしているときに『馬鹿な真似はやめろ、いっときの感情に流されるな』なんていうのが前者。
仕事がつらい、もう死ぬしか・・・なんてときに『そんなに辛いなら辞めれば?』というのが後者?

どっちが当てはまるのかを判断するのって、結局センスなのかな。

嫌われることのリスクを考える

嫌われることは基本的にリスクである。
嫌われることはもちろんなるべくなら避けるべき、だが実際問題として、自分では避けようがない『嫌われ』が存在する。
インターネットのアンチとか。
そういうものは大抵、無視しても問題ないものなので放っておけばいい。

仮に、嫌われている人に悪評を吹聴されたとしても、自分がその悪評をまったくの的外れであると証明するような生き方ができていれば、悪評を発信した本人が信用を失うだけ。

ただ、自分の何らかの要素(身だしなみだとか、態度だとか)が原因で嫌われるような場合には、それを取り除くために最低限の努力はするべき。

万人に好かれるような生き方は、万人に相手にされない生き方である。
嫌われない努力ではなく、ファンを作る努力をするべき。

むすび:退職に向けて進み始めた。

というわけで断る力の話。
聞きやすいしまだ理解できてないところもある。何回か聞き直したい。3倍速なら2時間程度で聴ける。

作中で筆者が、断る力を『哲学』と表現していたが、まさにそのとおりだと思う。
コモディティではなくスペシャリティ、という考え方には、パラダイムシフトとでもいうべき力強さを感じた。

これを聞いて近く、上司に退職を打診し始めることとなった。
この本が決定打になった・・・わけではない。
たぶん今までに読んだいろいろな本やインターネッツの記事、人との会話などを通して醸成されたものがようやく形になり始めたのだろう、と思っている。
ただ、動き出す節目となるに相応しい、力強い本だった。

なお、この系統の書籍の常だが、例によってレビューが頭悪い低評価が多い。
具体的方法論に欠けるって、それを言っても意味ないって話をしてるんだよ・・・。





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