スクールアイドルって結局なんなんだ?

前フリ

この漠然とした話題を書くために、そもそもアイドルってなんなんだって思って、インターネッツを徘徊した。

その結果わかったこととしては、みんなよくわかってないんだなってことだった。

アイドルってなんなんだ

よくよく考えれば高校球児までがメディアで祭り上げられてアイドルになるような昨今。
アイドルという言葉の定義を正確に捉えようとするのが間違っているのだ。
なんて過激な考えも浮かんでくる。

でも、分からない、で一言書いておしまいだと記事にならない。
ライターならお金を貰えない。
趣味の文章書きも、自己顕示欲を満たせない。
またそれ以上に、わからないなりに語りたいコト自体は胸の中にくすぶっている。

そんなわけで、個々人の好き勝手なアイドル論が散見される状態にあるのだろう。

好き勝手と言ってるのは、どんな文献も、アイドルという言葉が含むあらゆる概念を包括した定義なんてしていないからだ。
どんな人もアイドルという概念の一側面だけを愛しており、そこについてを語っている。

時代の変化とともに多様化

アイドルという言葉が使われ始めて30年くらい経つらしいが、時代とともにアイドルが示す言葉は変わってきている。
さらには、アイドルという概念が多様化、細分化してしまった。

だから、恐らく過去・未来や、その種類を包括的に定義して語ったとしてもあまり意味がない。

たとえば80年代アイドルと言う存在と、現代の地下アイドルは、僕はどちらもあまり詳しくないし、等しく興味が無い。

おそらく世の中には、それらと声優アイドルの文化の違いを語れる人がいるのだろう。

だが僕はそれに対して興味は湧いても価値は感じない。

宗教と似ている

それはちょうど、本家アイドル、ようするに宗教の種類にも似ている。

仮に自分が神を信仰していたとして、自分の信じる神以外の神の話は知識として興味を持ったとしても、自分の信じる神ほどのありがたみを感じることはないだろう。

具体的には、坊さんと牧師がいくら語り合っても、最終的にどっちかがどっちかの宗派に鞍替えすることはないということだ。

で、回りくどくなってしまったのだが何が書きたかったかというと。
他の種類のアイドルと比べることはあまり意味が無いということだ。

もはやスクールアイドルはスクールアイドルとして単体で語るべきコンテンツになってしまった、とも言える。

コンテンツが客に強く届く

コンテンツの中でも何度か話題になるそれは、主観的にはアイドルの真似事ということになる。

であるからこそ、アニメ序盤、活動を始めたばかりではただのお遊びと捉えられて冷たく当たられたりもするわけだ。
だがその主観は、裏を返せば『それに甘えて半端なものを出すわけに行かない』という考えがあるから出てくるものとも言える。

ただでさえアイドルという言葉には『ちょっと可愛いってだけで大してうまくもねーのに騒がれやがって』というやっかみが含まれている。
そのうえで、あくまで真似事だから……という立場に甘んじていたら、そのときは眉をひそめられたとしても文句は言えない。

そしてスクールアイドルたちの中に、半端でいいと考えている人は一人もいない。
ひたむきであり、思わず応援したくなる健気さに満ちている。

現実に売り出される商品としては、作中のキャラクターが作ったという体は取られているが、実際に作っているのはおじさんおばさんたちで、もちろん彼ら彼女らの生活をかけて、確かなものが作られている。

プロの技による確かな作品が、応援したくなるアイドルを通じて客の元に届く。
スクールアイドルというのは、そういう強さを持ったコンテンツであると言える。

時間に縛られている

作品をきっちり描こうとするほど、どうしても避けられない問題に卒業がある。

もちろんアイドルの世界にも卒業という言葉は存在する。
だが、学校を卒業するというのは確実に日本人ならば誰もが経験したイベントであり、アイドルの卒業とは異なり痛烈に共感を呼ぶ。

もちろんスクールアイドルがサザエさん時空を生きても問題ないはずだ。
実際彼女たちは、デビュー後の数年間はその時空を生きていた。

だが、彼女たちはあくまで廃校を阻止するために立ち上がったスクールアイドルである。
サザエさん時空にいてはそもそも廃校が発生しないし、起きないことは阻止できない。

アニメで廃校阻止の話に一定の回答を出してしまった時から、『終わらせないといけない』というか、ファイナルまでのドミノ倒しは始まってしまったのではなかろうか。
廃校を阻止するために立ち上がったアイドルが実際に廃校を阻止した後にいつまでも存在しているとすれば、それはただの茶番だ。

廃校がなくなったことを証明するためには、彼女たちはその場にいてはいけない。
卒業して、次の世代に続かなくてはならないのだ。

で、結局なんなんだ。

話をまとめる。

スクールアイドルというコンテンツについて考えた時、ポイントとなるのは次の2つだ。

半端者が頑張るという日本人が大好きな物語。
そして、学校および学校から卒業するという共通の体験。

これらによる強烈な共感を呼び起こすコンテンツがスクールアイドルである。

また、もう一歩引いて眺めると、コンテンツの寿命を好きに操作できるという特徴があることに気付いた。
ファイナルが発表された時、多くの人は信じられないと思いつつも、「やっぱり」と思う部分はあったのではないだろうか?
納得できなくても理解はできてしまうのだ。
なにしろ、彼女たちは卒業してしまったのだから。

「スクールアイドルとは何か?」という問いの回答は、結局そういうことなのかもしれない。
スクールアイドルというのはあくまで学校モノ、部活モノであって、アイドルモノではないということ。
そういう意味で『アイドルではなくて、スクールアイドル』。

ラブライブ!とそれ以外の多くのアイドルものを隔てる何かは、この辺りにあるのかもしれない。

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